日々響

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マイペースに書きたいことを書いてます。って言いながら気が向かないので書いてないです。

夢を追う若者達による情熱溢れる公演『バイトショウ国際篇』感想

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夢を持つことは大切なことだと身近の大人に教えられた。夢に向かって頑張ることは素敵だとテレビの中の成功者は言っていた。

努力をすれば必ず夢は叶う、子供ながらに軽信していた。

それがいつしか歳を重ね、夢を実現させることの難しさを知り、夢を追い続けることを躊躇する。

大勢の人が同じように現実を知り、夢を追うことを諦めてきただろう。

 

それでも足取りを止めずに夢に向かい走り続ける人達がいる。夢というものはそれほど魅力的で、叶えたいものだ。

 

 

 

今年も会場までの道のりに立ちはだかる"名物"紅葉坂を登る。

想像を絶する程で登るのも嫌になるほどに急な坂でありながら、その坂を登る足取りは高鳴る鼓動に呼応するように軽く、早く登れと急かしてくる。

無理もない。今日という特別な日が来るのを去年からずっと待ち侘びていたんだ。

 

今回観に行ってきたのはマグカルの公演「バイトショウ国際篇」。夢を追う若者達が作り上げる情熱的で、個性的で、真っ直ぐな想いをぶつけてくる舞台。

 

「バイトショウ」を観るのは去年の「バイトショウ YOKOHAMA-青春篇-」以来だから今回の公演で2回目。友人が出演しているという理由で去年から観に行っているが、本当にそれ抜きにしても面白く、希望を与えてくれる魅力溢れる公演である。

 

「バイトショウ」という作品自体は劇団扉座という劇団のオリジナルだが(多分)、その作品をマグカルがアレンジしたものらしい。

 

そもそもマグカルとは、「マグカル・パフォーミング・アーツ・アカデミー」の略称であり神奈川県が舞台芸術の人材を育成するために開校した演劇、ミュージカルのスクールである。

その為、今回の公演「バイトショウ」も日々のレッスンの成果を発表するいわゆる成果発表会という位置付けに近いものだと思うが、その公演に注ぐ情熱、時間は本当に成果発表会という枠に収まらない。

 

まず、演出、舞台自体への工夫だ。

「バイトショウ」の公演はホールで行われるが、ただのホールでやる公演ではないのだ。

 

簡単に説明すると客席が360°回転するという仕掛けがある。

もっと説明すれば客席は普段公演等で使われているステージ部分を使用していて、演者はステージ部分の空いたスペースと客席側のスペースをフルに使って行う公演なのである。

その去年も同様にあった斬新かつ面白いステージ構成は、360°回転するという仕掛けで存分に公演で役割を果たしている。

客席が回転するので、死角になっているステージ部分で次の場面の準備ができ場面転換が容易というメリットが一番魅力的だと個人的には感じた。

どうしても場面転換の時は暗転をしたりナレーションを挟まないと場が持たなかったりするが、その弱点を見事克服したのである。凄い。

それだけでなく、演者が客席のスペースを使って行われる演出もあり他のホールでやる公演では絶対に見られないような面白い演出が見られる。

ステージ自体の工夫もそうだが、何より注目すべきは公演の内容。

 

 

 

「バイトショウ」あらすじ

シンガー、ダンサー、俳優、アーティスト・・・・・夢としか言えないものを追いかけ て、バイトとレッスンに明け暮れる、若者たちの希望と挫折の闘いの日々を描くオムニバスミュージカル

 

夢を追う若者。その若者達にも夢を叶えることに必死でそれ以外(バイト)を疎かにし親から支援を受けながらレッスンをする人、夢に向かって頑張りたいが生活していくのに精一杯でバイトに明け暮れレッスンをする時間が取れない人。様々な若者がいて、それぞれに苦悩や葛藤があるが夢を叶えたいという共通の想いがある。

だからこそ環境や生活、意思の違いからすれ違いが起こり、時には周りの人達との喧嘩や夢を実現させることの難しさで夢を追うことを諦めかけることも珍しくない。

そんな中、周りに励まされたりふとしたきっかけから立ち直り夢を追い続ける。

 

 いやあ...素晴らしい...。

叶えたい夢は違えど、夢を追いかけている人は本当に輝いているしたくさんの夢や希望をもらえる。

それが「夢を実際に追う若者が夢を追う若者を演じている」という時点で物凄く面白いし、かっこいい。

皆が皆、与えられた役を演じるというより本当に自分自身を演じきっているかのように錯覚させられる。そのくらい演じている役に対して違和感がなかった。

 

今回の公演名は「国際篇」。前回の公演の「青春篇」と名前が違うだけはあって内容も多少違っていた。国際篇とタイトルについているだけあって、ベトナムの留学生が出演者として出ていた。ミュージカルに国境の壁なんてないんや...。

元々は10人くらいのベトナム人を出演させて大々的な国際篇として作品を作り上げる予定だったみたいだが、都合上1人のみの出演になってしまったらしい。

それを知ったのは公演が終わってからだったけれど、その事を感じさせない程の「留学生」という枠を上手に使った内容だったと思う。

 

ベトナムの文化、民族舞踊を日本にも普及させるという日本とベトナムの架け橋的な役割をこの公演を通して、少なくともバイトショウを観に来た人達に対しては果たせたんじゃないかな。

 

留学生を迎え入れての公演、という点で去年とは大きく違っていたと思うけどそれ以外でも結構変わっていた所があった。

 

去年にはなかった新曲や演出、そして配役がほとんど去年と変わっている所が印象的で面白かった。演じる人が違えばこんなに変わるものか、と色んな場面で感銘を受けたのをよく覚えている。

もちろん去年にはなかった役や場面もあったので去年の公演とは別物として捉えて新鮮な気持ちで観賞ができた。

個人的に好きな場面が無くなっていたのがちょっぴり残念だったけれど、それを補うどころか足しに足されて大幅なリニューアルを遂げた今回の公演は去年よりも確実に満足感があった。

 

この「バイトショウ」は若者のみが演じているという事もあってか、公演自体のメッセージ性や内容も若者向けな印象を受けた。

「夢を追いかける若者達の物語」という分かりやすい内容や夢を追うことの大切さ、素晴らしさを伝えるという一貫したメッセージ性が込められた作品になっていることが若者向けかなと感じた大きな理由の一つ。

それにミュージカルと聞くと音楽に精通している人、ミュージカルが好きな人でしか楽しめないような少し堅いイメージがあるが(個人的なイメージ)、「バイトショウ」はむしろミュージカルに関心がない人でも楽しめるように、コミカルで観ていて楽しい作品になっている。

加えて、題材となっているのは誰しもが経験している、したことがあるであろう「バイト」なので、特にバイトに明け暮れる若者は感情移入がしやすく作品に入り込めるものになっている。

そういった点で若者はもちろん、大人でも楽しめる"良い"作品だと思った。

 

 

この「バイトショウ」はその名の通り工事現場やファミレスなど様々なバイト場でそれぞれが魅力的な役を演じ、踊り、歌い、表現する。

踊りの振りにもバイトで使う道具を用いていたりしたのが面白いし、自然に溶けこんでいたしバイトを題材にする作品ならではの工夫だった。

 

特に主要人物のキャラの立ち具合がこの作品の良さを一層深めているけれど、それも演じている人の情熱があってのキャラの立ち具合だと思うしその情熱が伝わってくるのも凄い。

"若者"だからこそのエネルギッシュでキラキラした演技が、未熟ながらも全力な感じが伝わってきて公演中何度演技に圧倒されたか分からない。

この全力感は、例えプロでも表現出来ない"発展途上な若者だからこそできる圧倒的な魅力"だと心の底から思うし、本気で挑んで頑張っている人にしかできない表現方法でもあると思う。

今回のポスターにも書いてある「ガチのリアルで勝負すっから!!!」が言葉通り、言葉以上に伝わるガチのリアルな演技をする演者ばかりだった。

 

その中でも一際印象に残ったのは劇団扉座の団員の人達と去年、今年の主要な人物を演じた演者達。

劇団に所属していて経験値や場数の多さが違うであろう人達、主要な人物を任されるだけのものを持っているであろう人達の演技は目を見張るものがあった。

声楽家すげえ。

 

その人達はもちろん、全員が去年よりも確実にパワーアップしていて、去年より良い公演だったと思えた一つの理由として演者自体の成長だと自分は信じて疑わない。

 

演者の中には複数の役を演じる人も多く、器用に上手く別の役を演じきっていた。

2時間という公演の中でよくあんなにコロコロ配役変わって演じきれるなぁ...って配役変わる度に感心していた気がする。

 

演技はもちろん、踊りや歌っている時でも表情から入り込んでいてコミカルな場面では弾むような演技、といった具合に場面毎に合った表現の仕方も凄く感動した。

 

 

余すことなく全てがお気に入りで好きなシーンだけれども、カズエがオーディションに受かって夢に向かって一歩前進した終盤のシーンが何回観ても泣けるし心打たれる良いシーン。カズエが受かったことを知り「すぐに追い付くから!」と純粋に夢に向き合って更に頑張ろうと決意するアイ達にもグッとくる。夢に向かって高め合える仲間ってめっちゃ素敵。

 

終盤で披露された「おめでとう」と「ダイジョウブ」は夢のこれまでとこれからを形取る楽曲。

「君のこれまでの頑張りにおめでとう。歩みを止めなかった君の強い意思の賜物だね。」彼女の全身で表現する滲み出るほどの"喜"が「おめでとう」の意味を具現化する。

「大丈夫、君は頑張っているんだから。これから先の困難にも打ち勝つ強い心を持っているんだから、大丈夫。」暗い空間に彼女を照らすスポットライトが刻苦し夢を追う一人の少女の心を映し出す。

 2つの楽曲を少女達が彩り、より一層「バイトショウ」の基部を強調する。

 「バイトショウ」を締めるに見合う純然たる楽曲だ。

 

コミカルな曲やシーンも好きでその場面で感じることもたくさんあるけれど、聴かせる曲だったりメッセージ性の強い歌詞の曲の強さには敵わないなぁ。その曲の魅力が十分に伝わるのは演者の努力によって磨かれた表現力によるものだから尚更感動する。

 

 

今回の「バイトショウ」を作り上げた演者達は、これから先「バイトショウ」で得た経験や想いを胸に秘め歩んでいくだろう。

たとえ志半ばで別の道を歩もうが、本気で挑み歩んだ道のりは決して無駄にはならない。夢に向かって愚直に突き進んだ日々は色褪せることなく心に刻まれ続け、これから先の人生を照らす灯火となるに違いない。

彼等のステージ上での演技を見たら、そう確信した。

本当に彼等にはもっと色々なステージに立って欲しいし、輝く姿を見せて欲しい。

 

 

 

 自分自身、この「バイトショウ」を通して夢に対する印象や考え方が変わったと思う。夢を全力で追うことはこんなにもかっこよくて輝いているんだ、というのが夢を追う若者達が一から作り上げる作品を通して感じることが出来た。

 

当たり前のようにどこにでもいる「アルバイト店員」が夢を叶えるために頑張っている人なのかな、なんて思ったりしてバイトに対する価値観がガラッと変わった気がする。世の中はバイトをする人達で回っているんだなってことに気付いた。

 

公演中、何度「この人達みたいに全てを懸けて夢を叶えるために頑張っていたら...」なんて思ったか分からないし、心の底から羨ましかったし、若干の悔しさもあった。

本当に全力で頑張っている人達を見るとそのキラキラさに圧倒されるし、たくさんの希望をもらえる。頑張っている人達が周りに与える影響力は凄いということに改めて気付かされたし、そういう周りに良い影響を与えられる人を目指したいなって思った。

何回観ても観る度に"夢"の大切さに気付くだろうし、たくさんの想いが生まれると思う。この「バイトショウ」という作品にはそれだけの想いが詰まっている。

この作品を1人でも多くの「夢を追いかけている人」や「夢を諦めかけている人」、「夢を叶えた人」、「夢がない人」にでさえ観て欲しいと強く強く思う。

必ず何か自分の価値観、夢に対する気持ちが変わるだろうから。

 

この作品に出会えたことに本当に感謝している。出会わせてくれてありがとう。

これからもあなたの夢を追う姿を応援しているし、希望も勇気もたくさんもらわせていただきます。

本当にありがとう。お疲れ様!

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